健康診断で避けて通れないのが便検査です。
多数の企業が健康診断で便検査を実施しており、その主目的は大腸がんの早期発見にあります。
通常、便のサンプルは2日にわたって収集する必要があり、このプロセスは時に手間がかかるものです。
便のリズムが不安定な人々にとっては、2回のサンプル採取が困難に感じられるかもしれません。
検査前日にサンプルを取り忘れて、検査当日に慌てることも珍しくありません。
2日連続の便検査は、一部の人にとっては大変なことかもしれません。
- 1日に2回採取したサンプルを提出しても問題はないでしょうか？
- 朝と夜に分けてサンプルを採取することは適切でしょうか？
これらは便検査を控える多くの方々が抱える疑問点です。
本記事では、「便検査は2回分が必要？1日で2回採取しても大丈夫？朝と夜で分けることは可能？」というテーマに沿って、これらの疑問に答えていきます。
2日連続で便検査を行う必要がある理由とは？
便検査で2日連続でサンプルを取ることが推奨される理由を解説しましょう。
便検査、特に便潜血試験を用いることで、消化管からの出血を検出し、がんやポリープの有無を調べる重要な診断手段となります。
大腸がんの初期段階では、必ずしも連続して出血が見られるわけではないため、2日間にわたるサンプルの提出が必要とされています。
この方法では、どちらかのサンプルで出血が検出されれば、消化器系の疾患が発見される確率が上がります。
実際に2日分のサンプルを提出すると、便潜血の検出確率が格段に上がりますが、3日連続での採取が必ずしも更なる精度向上に繋がるわけではなく、誤検出の可能性も増えると考えられています。
2日分の検便を集められなかった場合、1日分だけでの診断は有効？
2日分の検便を取ることが推奨されるのは、より精確な診断を目指すためです。
しかし、便秘やその他の理由で2日分の検便を集められない、または採取を忘れてしまった場合でも、1日分のサンプルだけでも検査を進めることは可能です。
理想的には2日分の検便による検査が望ましいものの、1日分のサンプルでもある程度の診断は行えるため、採取できたサンプルは積極的に提出しましょう。
これにより、診断のチャンスを最大限に活用し、得られる情報を増やすことができます。
1日に朝と夜の検便を行うのは問題ない？
通常、便潜血検査を含む便検査では、2回のサンプル採取を異なる日に行うことが推奨されています。
しかし、もし状況が許すなら、1日内に朝と夜の2回で検便を行っても問題ありません。
特に決まった時間間隔を設ける必要はないのです。
検便時によくある問題とその解決法
検便は主に人間ドックや職場の健康診断で実施されますが、採取時に困った状況に直面することもあります。
ここでは、検便の採取時に遭遇しやすい3つの一般的な問題とその対処法を紹介します。
下痢や軟便の時はどうする？
下痢や軟便の状態で検便を行う場合、便の固形部分を選んで採取するか、採便棒を使って便をよくかき混ぜて均一なサンプルを取ると良いでしょう。
便が水に沈んでしまったら？
便が水に沈んでしまった場合、そのサンプルは使用しない方が適切です。
水に沈むことで血液成分が薄れ、検査結果に影響が出る可能性があります。
便が硬くて採取しにくい時は？
便が硬い場合は、採便棒で表面をかき取る方法が効果的です。
必要に応じて少量の水を加えて便を柔らかくしてから採取しますが、水は少量に留めましょう。
検便結果が陽性の場合の対応は？
健康診断で検便の結果が陽性だった場合でも、直ちに深刻な病気があるとは限りませんが、さらなる詳細な検査を受けることが推奨されます。
便潜血が陽性になる理由は様々ですが、2回の検査のうち1回でも陽性反応があれば、専門医に相談し、必要であれば大腸の詳細検査を受けるべきです。
内視鏡検査やバリウム検査は不安を感じるかもしれませんが、早期対応が重要です。
まとめ
本記事では、人間ドックや職場での健康診断における検便にスポットを当て、特に2回分の便が集まらない場合の対応策について説明しました。
もし検便が必要な2回分を前日や当日に集めることを忘れたり、便が出なかったりして1回分しか採取できない場合でも、その1回分は提出しましょう。
同じ日に2回分の便を採取しても検査結果には影響しませんが、それによって大腸がんなどの病気の早期発見の機会を逃すことがあります。
検便は、必ずしも前日や当日に限定する必要はなく、4日前から採取しても問題ありません。
便秘を心配する人は、早めに準備を始めると良いでしょう。
ただし、採取した便の保存方法には気を付ける必要があります。
常温で保管すると、便内のヘモグロビンなど血液成分が分解され、正確な検査結果が得られない可能性がありますので、冷蔵保存が推奨されます。
最後に、検便の結果が陽性であったとしても直ちに大腸がんであるとは限らないため、検査を受けた医療機関やかかりつけの医師に相談し、必要に応じて大腸の更なる詳細検査を受けることが大切です。
