「おしるこ」と「ぜんざい」、どちらがお好きですか？
どちらも甘く煮た小豆にお餅や白玉団子を合わせて楽しむ、冬にぴったりの和スイーツです。
優しい甘さが、冷えた体をじんわりと温めてくれますよね。
でも実は、「おしるこ」と「ぜんざい」という名前やその内容は、地域によって異なるんです。
例えば、使われるお餅や白玉団子、あんこの種類（こしあん・つぶあん）、さらには汁気の多さなどがポイントとなります。
北海道、関東、関西、九州など、それぞれの地域でどのように違うのかを詳しく見ていきましょう。
「おしるこ」と「ぜんざい」の違いとは？
「おしるこ」も「ぜんざい」も、小豆、あんこ、お餅を使った和スイーツですが、実は異なる特徴を持っています。
それぞれの違いを整理してみましょう。
おしることは？
「おしるこ」は、小豆をこしあんやつぶあんにして水でのばし、温めたスープ状の料理で、そこにお餅や白玉団子を加えたものです。
汁気が多いのが特徴ですね。
ただし、大阪では特に「こしあんを使ったもの」だけを「おしるこ」と呼ぶ場合もあります。
「おしるこ」のルーツは江戸時代までさかのぼります。
当時は塩味が主流で、現代のような甘いスイーツではなく、酒のつまみとして楽しまれていたそうです。
ぜんざいとは？
「ぜんざい」は、小豆を煮て砂糖で甘くしたものに、お餅や白玉団子、栗の甘露煮などを加えた料理です。
小豆の粒がそのまま残っているのが特徴で、一般的に「つぶあん」で作られることが多いです。
また、関西地方では「ぜんざい」と「おしるこ」の呼び方が逆になる場合もあるため、地域ごとに異なる名称に注意が必要です。
北海道ならではのぜんざいとおしるこ
北海道では、「ぜんざい」と「おしるこ」という名前の使い分けは特にありません。
しかし、地域特有のアレンジが見られます。
その代表的な例が、お餅の代わりにかぼちゃを加える食べ方です。
この習慣は、もち米が手に入りにくかった時代に、かぼちゃを代わりに使ったのがきっかけとされています。
北海道ならではの温かみのある食文化が感じられる一品です。
関東地方における「おしるこ」と「ぜんざい」の違い
関東地方では、「おしるこ」と「ぜんざい」の違いは主に汁の量で区別されます。
- 汁がたっぷりあるもの → 「おしるこ」
- 汁が少ない、または無いもの → 「ぜんざい」
さらに、使用するあんこの種類によって名前が変わることも。
粒あんを使ったものは「田舎しるこ」や「小倉しるこ」、こしあんを使ったものは「御前しるこ」と呼ばれることがあります。
こうした名称の違いは地域特有の楽しみといえるでしょう。
関西地方における「おしるこ」と「ぜんざい」の違い
関西地方では、あずきの加工方法が「おしるこ」と「ぜんざい」を分ける基準となります。
- こしあんを使う → 「おしるこ」
- つぶあんを使う → 「ぜんざい」
また、関西には汁気のないあんこを使った甘味もあり、「亀山」や「金時」などの名前で親しまれています。
これらの呼び名は地域文化や習慣が育んだ、ユニークな伝統といえるでしょう。
九州地方における「おしるこ」と「ぜんざい」の違い
九州地方では、あんこの種類によって呼び名が変わります。
- こしあんを使う → 「おしるこ」
- つぶあんを使う → 「ぜんざい」
また、一部の地域では、具材による呼び分けもあります。
お餅が入ったものを「おしるこ」、白玉団子を入れたものを「ぜんざい」とする地域がある一方で、その逆の呼び方を使う場合もあります。
このような呼び名の違いは、西日本らしい特色といえるでしょう。
おしることぜんざいの名前の由来
おしることぜんざいの名前の由来について紹介します。
「おしるこ」の由来
「おしるこ」は漢字で「汁粉」と書かれます。
この言葉はもともと、「汁」が液体料理を指し、「粉」が具材を表していました。
そのため、具の入った汁物全般を意味していたと考えられています。
時代が経つにつれて、小豆を使った甘い汁物を限定して指すようになり、さらに餅や栗などの具材を加えたものが「おしるこ」と呼ばれるようになったとされています。
「ぜんざい」の由来
「ぜんざい」という名前にはいくつかの由来がありますが、特に有名な2つの説をご紹介します。
一休宗純が名付けたとする説
「ぜんざい」は漢字で「善哉」と表記します。
この言葉は「素晴らしい」という意味を持ち、仏教用語に由来するとされています。
この説によれば、室町時代の僧侶である一休宗純がこの料理を口にした際、その美味しさに感動して「善哉（素晴らしい）」と絶賛したことが、この名前の由来だとされています。
神事に由来する説
10月になると、日本各地の神々が出雲大社に集まるという伝承から、この月は「神無月」と呼ばれる一方、出雲地方では「神在月」とも呼ばれています。
この神在月に行われる「神在祭」では、「神在餅」と呼ばれる餅が振る舞われていました。
この「神在（じんざい）」という名前が訛り、「ぜんざい」となったとする説も有力です。
このように、おしることぜんざいの名前には、それぞれ興味深い歴史や伝承が込められているのです。
まとめ
「おしるこ」と「ぜんざい」は、地域によって呼び方や内容に違いがあります。
- 関東地方では、汁気の量で区別。
- 関西地方や九州地方では、主にあんこの加工方法や具材の種類で呼び分けられます。
また、それぞれの名前の背景には、地域の文化や歴史が反映されています。
これらの違いを知ると、より一層「おしるこ」と「ぜんざい」を楽しむことができますね。
寒い季節には、ぜひ各地の特色ある甘味を味わい、その違いを楽しんでみてはいかがでしょうか。
