雨上がりに空にかかる虹は、幸せの予感として心を温めてくれます。
しかし、その鮮やかな色の並びを細かく覚えている人は少ないでしょう。
「虹は7色から成るとは聞くけれど…」と考える人も多いはずです。
とはいえ、世界の中には7色という考えが普遍的ではない場所もあります。
この記事では、虹がなぜそのような美しい色彩を持つのか、その理由から、なぜ特定の色が含まれていないのかまで詳しく解説します。
虹の色彩とその並び
光が水滴を通過するとき、プリズムの働きをして、赤から紫にかけての色が現れます。
これは光の屈折率が色によって異なるためで、虹(主虹)は外側から赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の順で並びます。
虹の色彩の多様性と文化間の違い
虹は世界各地で見られる色の数が異なり、日本では「7色」というのが一般的ですが、それが全ての地域で共通の認識というわけではありません。
地域や文化によって、虹に対する見方が変わってきます。
例えば、過去の日本では虹を3色や5色で表現することもありましたし、沖縄では「赤と黒」や「赤と青」といった2色で表現されたこともあります。
世界各地で見られる虹の色数の多様性には、以下のような例があります。
- アフリカのアル部族では8色(赤、橙、黄、黄緑、緑、青、藍、紫)
- 日本、韓国、イタリア、オランダ、フランスの一部では7色(赤、橙、黄、緑、青、藍、紫)
- アメリカやイギリスでは6色(赤、橙、黄、緑、青、紫)
- 中国、フランス、ドイツ、メキシコでは5色や4色の虹
文化によって異なる虹の色数の背景
虹の色数に地域差が見られる主な理由は、色の捉え方が異なるからです。
たとえば、アメリカやイギリスでは「青」と「藍」の区別をせず、どちらも「青」と見なすため、虹は6色と認識されがちです。
2色で表現される虹がある文化では、色を明るさで区別し、「赤」と「黒」で虹を表現することがあります。
また、色の表現の範囲も虹の色数に影響を与えます。
例えば、平安時代の日本では、限られた色の言葉しかなく、「緑」や「紫」も「青」として分類されていました。
実際には、虹は7色や8色に限らず、無数の色が混じり合って独特の美しさを作り出しています。
人によっては、同じ虹が10色に見えたり、5色に見えたりすることもあります。
結局、虹の色数は文化や個人の解釈によって変わる可能性があり、これはその人の文化的背景や視覚的認識に深く関連しています。
日本で虹が7色とされる理由
日本で「虹は7色」という考えが一般的になった背景には、17世紀イギリスの物理学者アイザック・ニュートンの影響があります。
ニュートンは万有引力の法則を発見したことで知られていますが、光に関する研究でも大きな貢献をしました。
彼の研究では、太陽光が多くの色の光によって構成され、白く見えることを明らかにしました。
これまでの「赤、黄、緑、青、紫」の5色という考え方に、「橙、藍」を加え、7色であるという理論を提唱しました。
この分類は音楽の7音階と類似しているとされています。
ニュートンは虹の色を数え切れないほど多いと考えていましたが、彼の時代に「7」という数字が持つ神秘的な意味や、音楽と自然科学のつながりを重要視する文化的な背景が、虹を7色と定義する理由となりました。
明治維新以降、日本で「虹は7色」と広く受け入れられるようになったのは、明治維新後に西洋文化の導入が進んだためです。
この時期に、欧米の自然科学が学校教育で教えられ、「虹の7色」の概念が普及しました。
アメリカではその後「藍色を除いて6色」とする考えが生まれましたが、日本では「7色」という考えが強く残りました。
虹にピンクが含まれない理由
虹にピンク色が含まれないのは、自然界にピンクの光の波長が存在しないからです。
虹は赤から紫にかけての色を描きますが、赤と紫が直接混ざることはなく、そのためピンクは生じません。
ピンク色は、赤と紫(青)の光が混ざった時に人間の脳が作り出す色とされています。
虹にピンクを加えたい場合、色相環に基づき、赤のすぐ上や紫のすぐ下に配置すると自然に見えます。
特に色相環では、ピンクは紫の下に配置されることが多く、これは色の調和を考慮した配置です。
ピンクを赤の代わりに使うことで、より優しい印象の虹を描くことができます。
虹ができる仕組みと色の並び方
虹がどのようにしてその特徴的なアーチ形と、赤から紫へと変わる色の順番を持つのかを詳しく説明しましょう。
基本的に、虹は空に浮かぶ細かい水滴に太陽の光が当たることで生まれます。
虹が見えるためには、太陽が観測者の後ろ側にあり、前方にはたくさんの水滴が存在している必要があります。
虹が形成されるプロセスは次の手順に分けられます
- 空中の水滴に太陽光が当たります。
- 光が水滴に入る際、空気と水の間で屈折し、水滴内を通過します。
- 光の波長が異なるため屈折率も変わり、光は様々な色に分かれます。
- これらの光は水滴内で反射し、再び屈折して水滴から出ます。
- 太陽光が水滴に入る角度を基準にすると、赤い光は約42°、紫の光は約40°の角度で外に出てきます。
この一連のプロセスを通じて、分離された光が虹として観測されるのです。
光の屈折率は、赤い光が最も低く(少しだけ曲がる)、紫の光が最も高い(より強く曲がる)ため、水滴から出る光は上から「紫・藍・青・緑・黄・橙・赤」という順で並びます。
しかし、虹を形成するそれぞれの水滴からは、特定の角度で見た時に一色の光だけが目に見えます。
そのため、虹の最上部では赤の光、最下部では紫の光が観測され、結果として虹は上が赤で下が紫というグラデーションに見えるのです。
虹がアーチ状に見える理由
虹がアーチ状に見えるのは、太陽光と観測者との間の特定の幾何学的関係によるものです。
虹の中心、いわゆる「対日点」は、太陽光と観測者を結ぶ線上にあります。
観測者から見ると、赤い光が見えるのは約42°の半径で、紫の光が見えるのは約40°の半径であるため、虹は円形に形成されます。
しかし、この円の下部は地面によって隠されてしまうため、観測者にはアーチ形に見えるのです。
太陽が高い位置にあるほど虹は小さく見え、低い位置にあるほど大きく見えますが、太陽の高度が42°以上になると、虹は地面に隠れてしまい、見えなくなります。
虹に関する興味深い知識まとめ
虹は世界中で見られる色の数が異なり、日本では一般的に7色とされていますが、世界の他の地域では6色や2色とされる場合もあります。
虹の7色という概念を提案したのは、アイザック・ニュートンです。
虹は、大気中の水滴に太陽光が当たることで形成されます。
主虹と副虹では、見える色の角度が異なり、主虹では赤が約42度、紫が約40度、副虹では赤が約51度、紫が約53度で見えます。
虹は本来円形であるものの、その下半分が地面に隠れてしまうため、アーチ状に見えます。
虹の色を覚える方法の一つとして、「赤、橙、黄、緑、青、藍、紫」を音読みで「せき・とう・おう・りょく・せい・らん・し」と覚える方法があります。
虹の色の境界ははっきりしていないので、実際には無数の色が存在しますが、日本では7色が一般的とされています。
人によって青や藍の色の捉え方には個人差があります。
この記事を読んでいただき、ありがとうございました。