今冬は「平均的かやや暖かい」と予測されているものの、最近の強烈な台風の影響も忘れてはならず、雪に対する準備を怠ってはなりません。
暖かい冬だとしても、「爆弾低気圧」による突然の大雪に見舞われる可能性があります。
自動車通勤の方々は、天気予報に関わらず、防寒やスタッドレスタイヤへの履き替えを含め、雪や凍結対策をしっかりと行ってください。
さて、具体的にどの温度以下で雪が降り始めるのでしょうか?
北国の人々は「今日は雪が降りそう」と予感できるようですが、その根拠を聞いても「感覚的なもの」と言われることが多いです。
さらに、大量に降った雪が、比較的高い気温が続いてもすぐには溶けずに長く残ることもよくあります。
結局、雪はどの温度で溶けるのでしょうか? 特に関東地方の人々にとって、雪はあまり馴染みのないものです。
- どのような低温で雪は降り出すのか?
- 雪はどの温度で溶けるのか?
雪の予報が出ると、心配になるのは当然です。
それでは、雪と気温の関係を一緒に見ていきましょう。
雪が降る温度基準は?
雪が降る気温を理解するためには、まず「雪が降りやすい気象条件が整っているか」を確認することが重要です。
低気温が雪を降らせる一つの要因ですが、必ずしも「低気温=雪」とは限りません。
西高東低の気圧配置は、日本海側に雪をもたらすものの、その雪雲は中央の山脈を越えられず、太平洋側では乾燥した風が吹きます。
しかし、全国を回るビジネスパーソンならご存知かもしれませんが、名古屋付近では特有の気象条件により雪が降ることがあります。
冬に名古屋周辺で吹く「伊吹おろし」という強風が、日本海側からの雪雲を伊吹山を越えて運び、特にこの地域で雪が降ることがあります。
このように、太平洋側での降雪は気温よりも、地域独特の気象条件が大きく影響しているのです。
過去10年の東京の積雪データ
過去10年の東京の積雪データを見ていきましょう。
- 2014年 27cm
- 2015年 3cm
- 2016年 6cm
- 2017年 0cm
- 2018年 23cm
- 2019年 0cm
- 2020年 1cm
- 2021年 データなし
- 2022年 10cm
- 2023年 データなし
東京で過去10年間で一番積もった最高記録は、2014年の27cmです。
雪が降り始める温度基準は?
雪か雨かを区別するためには、1500mの高度での気温と地面の気温が重要です。
- 1500mの高度での気温が-6℃未満
- 地面の気温が3℃以下
高空の気温が高めであっても、地面が凍っていれば雨が降り、高空が冷えていれば地面が比較的暖かくても雪が降ることがあります。
これらの条件が揃うと、雪が降るとされています。
さらに、大雪になるリスクは、5500mの高度での気温に依存します。
- 5500mの高度での気温が-36℃未満の場合、大雪のリスクが増加
- -30℃未満でも、大雪に警戒が必要
それでも、地面の気温が4℃を超えていても雪が降ることがあるのは、雪を形成する際の湿度が影響しているとされています。
湿度が雪に与える影響
南岸低気圧のもとで、1500mの高度で気温が-6℃を下回り、地面の気温が3℃以下になった場合、一般的には雪が降ると言われています。
それでも、地面の気温が4℃以上であっても雪が降ることがあり、また3℃以下でも雪が降らない場合もあります。
この違いは、湿度と雪との関係が関係しています。
湿度が低ければ、地面の気温が4℃以上でも雪が降りやすくなります。
時には5℃や9℃でも雪が降ると報告されています。
この現象の背後には「昇華」という現象があります。
このプロセスは周囲の湿度が低いとより起こりやすくなります。
例えば、冷凍庫の中で見られる霜の形成は昇華の一例です。
湿度が低いと、氷や霜が気体に直接変わりやすく、この過程で氷はさらに冷えて小さくなりながら形を保ちます。
同様に、上空で形成される雪片においても昇華が起こり、特に湿度が低い場合はこの現象が効果的に作用し、雪片が地上に達する前に溶けることなく雪として降り積もります。
非常に湿度が低い、例えば10%以下の状況では、理論上地上の気温が10℃近くても雪が降る可能性がありますが、実際には地面の湿度が30%未満になることは稀で、普通は地上の気温が8℃程度が雪が降る上限とされています。
雪が溶ける条件について
道端に積み上がった雪が長く残るのをよく見ますが、どうしてそうなるのでしょうか。
気温がわずかに上がっても、なぜ積雪は容易には溶けないのでしょう。
具体的には、雪はどの温度で溶け出すのでしょうか?
雪の融解には「太陽の光」が大きく影響する
雪は大気中の水蒸気が凝結し、氷の結晶として降ってくる現象です。
氷が0℃で溶けるように、雪も0℃で溶け出すと一般に考えられがちです。しかし、実際には雪がすぐに溶けないことがよくあります。
これは、雪が主に気温ではなく太陽の光の影響を受けて溶けるためです。
例えば、日中でも気温が氷点下であっても、太陽光が強ければ雪は溶けやすく、逆に夜で気温が高くても太陽光がなければ雪は溶けにくいです。
また、空気が静かなときには、雪の周りの空気温度が0℃近くで安定し、これが雪が溶けにくくなる一因です。
もし雪が気温だけで溶けるのなら、風が融解を助けることがありますが、風は不確実な要素であり、必ずしも雪の溶解を促進するわけではありません。
雪を迅速に溶かす方法
これからは、雪を迅速に溶かす方法について考えていきましょう。
積もった雪や、集めた雪は気温が上がってもなかなか溶けません。
溶かすためには、太陽光や風の力が必要です。日差しがあっても雪がすぐに溶けないのは、雪が白く、日光を反射するからです。
暗い色が日光を吸収して温度が上がる原理は、学校で習ったことがあるかもしれません。
そのため、白い雪は日中少し溶けても、夜になると再び凍ることがあります。
融雪剤「塩化カルシウム」の利用
冬になると、融雪剤として知られる塩化カルシウムが店頭に置かれます。
これを雪が降る前や降った後に撒くと、雪が積もりにくくなり、溶けやすくなります。
水に塩を加えると凝固点が下がるという原理を利用しています。
これは、小学校でやるような一般的な実験です。
これからの雪の季節に備えて、事前に融雪剤を準備しておくと良いでしょう。
通常、塩化カルシウムの価格は一袋で2,000円から3,000円です。
雪解けを加速する「黒いポリ袋」の使用法
最近は、自治体指定のゴミ袋が増えていますが、黒いポリ袋を使用できる場合、それに雪を入れておくと雪の融解を速めることができます。
黒い色が日光を吸収しやすいという原理を利用した方法です。
雪かきで集めた雪を黒いポリ袋に入れて、日当たりの良い場所に置くと、雪が早く溶けます。
ポリ袋の底に穴を開けておくと、溶けた水が流れ出て、夜間の再凍結を防ぐ効果があります。
まとめ
この記事では、雪が降る温度と溶ける条件について詳しく掘り下げました。
特に、関東平野南部を事例に挙げ、雪が降り始める気温に焦点を当てて解説しました。
関東地方での積雪は、気温のみならず南岸低気圧の影響が顕著であることが明らかになりました。
この気象状況が、雪を降らせる重要な要素です。
雪が降り始める際の具体的な気温基準は以下の通りです。
- 1500mの高度での気温が-6℃未満
- 地面の気温が3℃以下
これらの条件が揃うと、雪が降る可能性が高まります。
さらに、5500mの高度での気温が-36℃未満の場合は大雪の兆しとされ、-30℃未満でも警戒が必要とされています。
雪の融解については、気温だけではなく太陽の光の強さや風の影響が大きいことを強調しました。
特に、太陽の直射日光の有無が雪の溶けやすさに大きく影響します。
効率的に雪を溶かす方法としては、塩を撒く方法や黒いポリ袋を使用する方法が有効です。
これらの方法は、小学校の理科の授業で学んだ実験を思い出せば、なるほどと納得できる策かもしれません。