回鍋肉や麻婆豆腐などの料理に欠かせない甜麺醤は、中国北部で生まれた甘い調味料です。
「甜」は甘さ、「麺」は小麦、「醤」は味噌を意味し、小麦、塩、麹を使って作られます。
この調味料は赤味噌に似た赤褐色で、柔らかく濃厚ながら、日本の味噌に比べて塩分は控えめです。
家に甜麺醤を常備している人は少ないかもしれませんが、代替できる調味料は多く存在します。
賞味期限を気にせず使える便利な調味料もあり、自宅で手軽に作ることができます。
甜麺醤が必要なレシピを見つけた時、わざわざ購入する必要はないかもしれません。
家にある他の調味料で代用可能です。
この記事では、甜麺醤の代替として使える調味料をいくつか紹介します。
甜麺醤がないときの代替案
甜麺醤の代替として使える調味料をいくつか紹介します。
味噌+醤油+砂糖+ごま油
家庭によくある味噌を使って、味噌、醤油、砂糖を軽く煮込み、最後にごま油を加えると甜麺醤に近い味わいが作れます。
八丁味噌が特におすすめですが、なければ普通の味噌で醤油、砂糖、ごま油の量を調整しても代用が可能です。
以下に具体的な配合例を示します。
■八丁味噌タイプの代用レシピ
味噌(大さじ1)、醤油・砂糖(各小さじ1/4)、ごま油(小さじ1/4)
■辛口赤味噌タイプの代用レシピ
味噌(大さじ1)、醤油・砂糖(各小さじ1/2)、ごま油(一滴)
■甘口赤味噌タイプの代用レシピ
味噌(大さじ1)、醤油(小さじ1/4)、砂糖(小さじ1/8)、ごま油(小さじ1/4)
■通常の味噌タイプの代用レシピ
味噌(大さじ1)、醤油(小さじ1/2)、砂糖(小さじ1/4)、ごま油(小さじ1/2)
豆板醤+醤油+砂糖+ごま油
四川省特産の豆板醤を使用しても甜麺醤の代用が可能です。
甜麺醤は甘い味わいですが、豆板醤はそら豆と唐辛子を主原料にした辛い発酵調味料です。
豆板醤を使用した代用レシピは、
で、甘さを出したい場合は砂糖を多めに加えると良いでしょう。
コチュジャン
コチュジャンは、米やもち米の麹にチリパウダーを混ぜ、発酵させた赤褐色の調味料で、韓国料理には欠かせません。
ヤンニョムチキン、ビビンバ、スンドゥブチゲなど、多くの料理に用いられます。
「コチュ」とは韓国語で唐辛子のこと。
甜麺醤と比べて、コチュジャンは甘みと辛みが特徴ですが、見た目は甜麺醤に似ており、条件によっては代用可能です。
基本的には、コチュジャン大さじ1に砂糖小さじ1を加えることで甜麺醤に近い味わいが得られますが、辛さが強すぎる場合は砂糖の量を調整してください。
八丁味噌
八丁味噌は、濃い色が特徴の熟成された赤味噌です。
甜麺醤も濃い色をしているため、見た目の印象が似ています。
この味噌を醤油とみりんで調理することで、甜麺醤に近い風味を作り出すことができますが、八丁味噌単体では甜麺醤の味を完全に再現することは難しいです。
オイスターソース
家にコチュジャンや八丁味噌がない場合は、オイスターソースの使用を検討してみてください。
オイスターソース単体では甜麺醤の代用にならない場合もありますが、他の調味料と組み合わせることで甜麺醤に近い味わいを目指すことができます。
オイスターソースはそのまま使うか、自家製甜麺醤を作ることも一つの解決策です。
自宅で作るプロの味!手作り甜麺醤のレシピ
甜麺醤は中華風の味噌ダレで、日本の味噌ダレとは異なります。
具体的には、醤油や砂糖を加えて煮詰めた後に特定の中華調味料を追加して作られます。
この方法で、家庭でも簡単に甜麺醤を作ることができます。
甜麺醤とオイスターソースはどちらもアジア料理に欠かせない調味料ですが、それぞれ異なる特徴があります。
甜麺醤はその甘みが特徴で、豊かな風味を砂糖がもたらします。
一方、オイスターソースは牡蠣エキスを基にした濃厚な塩味があります。
甜麺醤が甘く、オイスターソースは塩味とコクが際立っていますが、どちらも料理に深みを加えるために使われます。
焼肉のタレをアレンジして
焼肉のタレに甜麺醤の風味を加える方法もあります。次のようにして焼肉のタレに甘さを加えることができます。
■焼肉のタレに砂糖を追加する
通常の焼肉のタレには甜麺醤のような甘さはないですが、少量の砂糖を加えることで、より甘みを強調することができます。
■フルーツピューレを活用する
焼肉のタレにリンゴやパイナップルなどのフルーツピューレを加えることで、フルーティーで甘い味わいを甜麺醤に似せることができます。
甜麺醤の代用時に注意すべきポイント
自作の甜麺醤代用品を使う際には、以下の三つの重要なポイントに注意が必要です。
つけダレ使用時は加熱が必須
たとえば、北京ダックのようにつけダレとして使用する際は、冷蔵庫から取り出したばかりの味噌は硬く、醤油、砂糖、ごま油との混合が難しいことがあります。
加熱することで調味料がよくなじみ、香りが増します。ただし、これから調理で加熱する炒め物などには、事前の加熱は必要ありません。
しかし、「○○醤」という名前の発酵調味料は、加熱することで香りが強まるため、加熱を推奨します。
味の調整をしながら調味料を追加
日本の味噌は、甜麺醤よりも塩分が高いことが多いです。
そのため、醤油を加えるときは塩分が過多になりがちです。
ベースとなる味噌によって塩分の量が異なるので、レシピ通りに一気に醤油を加えるのではなく、少しずつ加えて味を確かめながら調整することが重要です。
消費期限は作成日のみ
甜麺醤やその他の調味料を使った自家製品は、菌の繁殖しやすい環境になりがちですので、作ったその日に使い切ることが望ましいです。
保存することは推奨されず、必要な量だけを都度作ることが最適です。
甜麺醤を使った人気の料理
甜麺醤を使った人気の料理を紹介します。
担々麺
甜麺醤を使った辛口の担々麺は、鶏肉や豆板醤を加えて作るのが一般的です。
これらの材料が組み合わさることで、特有の味わいが生まれます。
ジャージャー麺
具材豊富なジャージャー麺には甜麺醤が欠かせません。
中華料理店でよく見かけるこの料理は、麺と具材が絡み合って独特の風味が楽しめます。
焼きそば
甜麺醤を加えることで、通常の焼きそばに一層深い味わいが加わります。
野菜や肉を炒めた後、麺としっかり絡めて仕上げます。
煮込みうどん
甜麺醤を使用した煮込みうどんは、じっくり煮込むことで味に深みが増します。
さまざまな具材や他の調味料とも良く合います。
甜麺醤炒飯
甜麺醤で味付けした中華風炒飯は、具材と共に香ばしく炒め上げることで、特別な味わいが楽しめます。
麻婆豆腐
甜麺醤を使った麻婆豆腐は、甘みと辛みの絶妙なバランスが特徴の中華定番料理です。
回鍋肉
甜麺醤を使った回鍋肉も中華料理の中で人気のある料理です。
豚肉と野菜を甜麺醤でしっかり味付けし、炒めて完成させます。
甜麺醤についてのまとめ
伝統的に甜麺醤は小麦粉と麹を発酵させて作られますが、日本市場に流通している甜麺醤の多くは日本人の味覚に合わせて赤味噌を基本としています。この調味料は炒め物だけでなく、生野菜のドレッシングや和食の隠し味としても使うことができ、料理の質を高める効果があります。
購入時には、どのように使用するかに応じてメーカーを選ぶと良いでしょう。例えば、中華料理にコクと深みを出したい場合は、李錦記やユウキなどの中華専門ブランドが適しています。和食に使いたい場合は、S&Bや味の素などの日本のメーカーがおすすめです。
特定の風味が欲しい場合は、ピーナッツペーストを含むテーオー製品や、ごまを加えた李錦記製品があります。また、初心者や手軽に使いたい方には、チューブ入りの小分け商品が便利です。
赤味噌をベースにした甜麺醤は、醤油、砂糖、ごま油で簡単に代用できることが分かっています。使用頻度が低い場合は、手持ちの調味料で代用する方がコストパフォーマンスが高いでしょう。